切恋~First Love~



次の日、朝一で流菜ちゃんの話を聞くはずだったのに・・・。


凄く大切そうな話を聞く予定だったのに・・・。


「ちょっと待ってええぇぇ!!」


新学期が始まって何回目なんだろう?


すでに片手では数え切れないくらいの数を誇っている。


そう、また立派な寝坊。


また慌ただしい朝をむかえた。


今日もお母さんからの朝食の誘いを断り、家の中を走り回る。


「いってきまーすっ!!」


飛び出した瞬間あたしをさす光。


五月晴れの空の下は入学したときよりポカポカしている。


そして毎日通る道のりを今日も爆走しながら駆け抜けた。



学校の玄関に着いたときチャイムが鳴った。


「あ~あ・・・」


そんなことをつぶやきながら、靴を履き替える。


もう鳴っちゃったしゆっくり行こ・・・。


ノロノロと階段を上がっていると、後ろからザワザワと音がした。


ああ、神崎涼とか尾崎君とかだな。


この頃適当に状況を流せるようになった。


こんなことをできるように自分を褒めてあげたい。


「あ、南美ちゃーん!おはよー」


この声は尾崎君だ。