「神崎涼よりはバカじゃない!」
神崎涼の口調にイラついて、思わず言い返した。
言った直後、後悔が押し寄せてくる。
「あっ・・・」
ハッとなり、無意識に声が漏れる。
癖で腕で口を隠した。
神崎涼は、
「は?」
と言って、あたしの方を見た。
どどどどどうしよ~!
神崎涼の目、怖いよお・・・。
どうすることもできなくて視線をチラつかせていると、
「アンタも南美と同じくらいバカだよ」
佳耶が神崎涼にそう言った。
普段なら、褒めてるのか、けなしてるのか分からないと思うようなこの言葉も、今は最高の助け舟だった。
それを聞いた神崎涼は、
「ふーん?俺と同じくらいってことは・・・お前も夏休み補習決定だな」
そう言ってニヤッと笑った。
いつもの笑い顔じゃなくて、艶のある意地悪な顔。
初めて見るその表情に、不覚にも心臓が飛び跳ねた。
ドクンドクンとスピードを増して脈打つ心臓。
当分、治りそうにない。



