「流菜はね、『田中流菜』って言うんだあ!普通の『田中』に流れるの『流』と菜の花の『菜』で田中流菜!」
田中流菜っていう子はすっごいかわいい声でそう言った。
色白な上に大きなくりくりとした目、鼻筋も通っていて、きれい・・・っていうか、かわいい感じの子。
髪は限りなく赤に近い茶色で、ショート。
ショートだけど、ふんわりと盛っていておしゃれに手を抜いてないなー、って感じがした。
しばらくその容姿に見入ってると、
「あなたの名前はなんてゆうの?」
と聞かれた。
え、普通に紹介すればいいんだよね?
あ!友達ゲットのチャンスじゃん!
よっし、がんばろ!
自分に言い聞かせて、心の中でガッツポーズをした。
「えっと、『藤井南美』てゆうの!普通の『藤井』に方角の『南』に美しいの『美』!!」
うわ、思いっきり早口で言っちゃった・・・。
聞き取れたかな・・・?
反応がない・・・。
やばい、アカン!
少し不安に駆られていると突然、かわいい笑い声が聞こえた。
ええ?
恐る恐る流菜ちゃんっていう子に目を向ける。
「おもしろいなあ!南美ちゃんって呼んでいい?流菜のことは流菜でいいよ!」
そう言って、またにこっと笑った。
このクラスで始めて友達が出来た。
新学期そうそう友達が出来るなんてあたし相当ついてるかも!



