ここまで神崎涼のことが分かっているのに、そんなことを期待してしまうあたしは相当バカなんじゃないかと思う。
・・・いや、完璧なバカ。
もうそんな考えは捨てよう。
捨てきれないけど、捨てよう。
伝えることができれば、もうそれでいい。
今の関係のままでいいから、せめてこの気持ちだけ聞いて欲しい。
受け取れとは言わない、聞くだけでいい。
ふられたっていい。
あたしのことをそういう目でみてないのは分かってるから。
・・・初恋は実らないって言うしね。
開き直ってそう思ったいたら、少し気持ちが楽になった。
・・・トイレ行こう。
その後順調にプリントを進めていたら、突然お腹が痛くなった。
あたし賞味期限切れのおかしでも食べたかなぁ・・・。
なんてそんなことを考えてみても、どうにもならないから先生に一言言って教室を出た。
「いたた・・・何で急に・・・・・・あ、もしかして・・・」
あらぬ考えが頭をよぎる。
いや、それは困る・・・何より2週間くらい前に終わったばかりだし。
正体不明の腹痛に首をかしげながら、トイレを目指してるその時だった。
「・・・あ・・・・・・」
向こうの教室から聞こえてくる声がどんどん遠いものになっていく。
開け放たれた窓から吹いてくる風があたしの髪の毛を揺らした。
あたしの口からでた言葉だけが、廊下にこだました気がした。



