切恋~First Love~



いつものように静かな教室。


隣の教室からは女の子の声だとか、いかにも『不良です』と主張しているようなしゃべり方で話している男の声だとかが、たびたび聞こえた。


神崎涼の声は、まだしない。


ところで、告白ってどんなタイミングで言えばいいの?


今日で補習最後だよ?


神崎涼のアドレスを持ってるわけじゃないし・・・。


2学期に持ち越し?


でも2人っきりになることなんて全然ないよ?


呼び出すしかないの?


いろんな疑問が頭の中を飛び交う。


ていうか何て言えばいいの?


『好きです』?


だから?って話になるよね。


『付き合って下さい』?


無理無理、結果分かってるのに何で聞かなきゃいけないの。


そんなことしか考えられなくて、シャーペンを持つ手が一向に進まない。


人生初の、この立場。


『告白』する立場。


そんな恥ずかしい立場に、戸惑いを隠せない自分がいる。


・・・・・・佳耶なら何て言うんだろう。


告白されたことがあって、したこともあるかもしれない佳耶なら、何て言うんだろう。


結果は目に見えているはずなのに、少しでも神崎涼の胸に届くような言葉を、と思っているあたし。


そんな自分に向かって、心の中で自嘲気味に笑った。