「・・・やっぱり、たらしだねー・・・」
流菜ちゃんがションボリした感じのイントネーションでそう言った。
神崎涼と周りの女の子達を見て、思う。
君はその隣の女の子を抱いたことがあるの?
今日はあの後ろの席の茶髪の子を抱くの?
何人・・・いや、何十人抱いたの?
毎日抱いてるの?
昨日あたしがベッドに入って寝ようとしてた時も・・・・・・誰かを、その身体で抱いていたの・・・?
考え出すと止まらない。
あたしには関係ないことだと、分かってる。
分かってるけど気になるんだ。
頭でそんな考えがグルグルと廻る中、神崎涼を無心に見ていると・・・。
「・・・っ」
急に鼻の奥がツンとして、目が熱くなった。
・・・やばい。
ダメ、ダメ、ダメ。
見るな、見るな・・・。
未だ教室を覗いている流菜ちゃんの後ろで、あたしはその教室から目をそらした。
まだそんなに溜まってないうちに、何とか止めようと頑張る。
腕で目をこすって、なるべく音が立たないように鼻も啜った。
大丈夫・・・大丈夫・・・。
ひたすら自分に言い聞かせた。



