切恋~First Love~



その後、佳耶はあたしの後ろの真面目ちゃんの席に座って、流菜ちゃんは自分のイスを持ってきた。


「南美は補習だけど、そういえば流菜ちゃんって補習なの?」


『補習』


その2文字があたしの胸に重くのしかかる。


「そうなんだぁ・・・。流菜もギリで補習になっちゃったの・・・」


あからさまに気を落とした顔をする流菜ちゃん。


流菜ちゃんはあともう少しで補習を免れることができたらしい。


でも流菜ちゃんには悪いけど、正直補習組になってくれて嬉しかった。


補習になった上に、仲のいい友達もいないなんて耐えられないから。


こんなこと考えるあたしって、もしかしたら相当性格悪いんじゃ・・・?


「そっか・・・。でも南美がいるからいいじゃん!南美も流菜ちゃんがいないと、夏の暑さと極度のストレスで溶けちゃうかもしれないからさ!」


「うん、・・・そうだね!」


・・・流菜ちゃん、そこ納得しちゃいます?


喜んでもらえたなら嬉しいけどさ。


そんなこんなで場が和んでいた時。


「・・・んぎゃっ!」


物凄い勢いで頭に何かが飛んできた。


思わず不思議な声が出る。


それはあたしの頭上でバコンという音を奏でた後、ワンバウンドして床に落ちていった。


見てみるとそれは、誰かのペンケースのようだった。


「み、南美ちゃん大丈夫?」


それ自体は布製だったけど、中身が硬い、かつスピードが速かったから相当痛い。


「誰だよ、投げたの」


周りを見回す佳耶の前で、あたしはガンガンと痛む頭をさすっていた。