「何て言うか、南美も流菜ちゃんもどこか抜けてるっていうか・・・」
3人分の紙を体育祭実行委員に出した後、佳耶はあたし達を見てずっと首をひねっていた。
佳耶があたしと流菜ちゃんを見る目は、まるで成長期の子どもを見ている母親の目みたいだった。
「用紙出したし、南美の席とかで話さない?」
「うん、いいよー!」
「流菜もー!」
条件反射でイエスと言ってしまった後に気付く。
あたしの机で話す、ってことはつまり神崎涼の近くにいたいってことだよね?
時々、佳耶の何気ない行動の中に、神崎涼に対する気持ちを垣間見る。
今だってそう。
そのさりげなさにも、あたしは敏感に気付いてしまう。
ただのあたしの思い込みだと思いたい。
でも何度もこういうことがあった。
だから嫌でも思い知らされるんだ、佳耶の気持ち。
流菜ちゃんは気付いてるのかな。
気付いてて、自然に佳耶についていってるのだとしたら、陰ながら佳耶を応援してるって証拠。
応援するって言ったんだから本来はそれが当たり前。
・・・あたしも、そうするべきだけど・・・。
いろいろな思いが混じって、胸が痛んだ。



