切恋~First Love~



そりゃあ、そうだろうな。


心の中でしみじみと首を縦に振り、自分でも納得する。


だって希望集計用紙にあたしが書いたのは、


「『第1借り物、第2借り物、第3借り物』・・・・・・って何考えてんの」


全て借り物競走。


「だってそれ以外無理なんだもんーっ!それに、これだけ借り物への熱意を伝えておけば、何が何でも借り物になるでしょ!」


当たり前のツッコミを入れた佳耶に対して、あたしは得意げに返事をする。


「いや、まぁ南美らしいと言えば南美らしいけど」


・・・どういう意味なんだろう。


というのはあえて聞かないことにしておいた。


「佳耶ちゃん、南美ちゃん、紙出したー?」


希望集計用紙をパタパタとさせながら、流菜ちゃんが登場。


「ううん、まだ。それより流菜ちゃん、見てよ南美の」


「あー!」


佳耶は素早くあたしの手から紙を抜き取ると、それを流菜ちゃんに見せた。


「へー、南美ちゃんも第1から第3まで借り物なんだぁ~」


もう・・・。


何度も言うようだけど、本当に希望するのがないんだから仕方ないんだってば。


・・・・・・ん?


「流菜ちゃん、『も』って言った?」


どうやら佳耶も、あたしと同じことに気付いたらしい。


「うん、流菜も全部借り物なんだ~」


流菜ちゃんは自分の希望用紙をあたし達に見せた。


あたしと同じように、見事に『借り物競走』の単語しか書かれてないその紙。


佳耶はポカーン、あたしはよく分からないけど笑ってしまった。