「んもうっ、なんなのよぅっ!!」




あたしは1人、夜の森の中を駆けていた。


辺りは真っ暗。


上を見上げれば暗い夜空に月が光を灯しているけれどそれは足下を照らすだけの明かりにはならない。


街灯なんて便利なものも存在しないから、目の前は暗闇。


見たこともないくらいの暗さの中不安が募るけど、立ち止まるワケにはいかない。



後ろにはワケの分からない黒い物体。


低い唸り声を上げてあたしを追いかけてくる。


さっきチラリと見た感じ、口しかないんじゃないかってくらい大きな口を持っていらっしゃった。


きっとその口で頭からバリバリ獲物を食べちゃうんだろう。




……今の獲物=あたし。


食われるっ!?




まったく、なにが悲しくてこんな目に遇わなきゃいけないんだろうっ!?