次の日、目覚めると見知らぬ部屋。

しばらくボウと考えてようやく自分がどんな状況にいたのか思い出した。


どんな映画もビックリなファンタジー体験をしたんだった。




「おはよう、目が覚めた?」



爽やかな声に目を向ける。



「おはよう、ラディ」


「よく眠れた?」


「そりゃもうぐっすり。どこでも寝れることがあたしの特技ですからー」



いや、こんな意味のわからない状況でぐっすり眠れるあたしの神経の太さには自分でも驚きですけどね。



「あれ、ラディ腕どうしたの?怪我してる」


「ん?あぁ、ちょっとね」



ざっくりと切れた右腕の傷を左手でさりげなく隠しながらラディは困ったように笑う。


血こそ出てないけど、傷口のところで固まってしまっているし一刻も早い治療が必要な気がする。




「ちょっ、それ大怪我だって!待って、たしかここに……」



制服のポケットをごそごそ探る。



「おぉ!あった!!」



いつもは入ってないんだけど、今回はたまたま保健室からくすねてきた絆創膏を持っていた。



「……およ?傷、でかくね?」



ちょっとあたし女子っぽくね!?とか喜んでいたら根本的な問題に気付いた。


絆創膏に対してラディの腕の怪我がでかすぎた。



ちなみに絆創膏でどうにもならないほど大きな怪我をあたしは「ちょっとね」じゃ済ませない。



「包帯!!」


「え?」


「いや、救急車っ!あれ、この場合ってパトカー?消防車?……とりあえず病院にっ!!」



プチパニックに陥ったあたしにラディは苦笑気味。



「大丈夫だよ。そのうち、」



最後まで聞く前にガチャリと小屋の扉が開いた。