あたしの問いにラディは不思議そうに首を傾げた。
「カズは〈来訪者〉だろう?ここがどこか知らないの?」
「らいほうしゃ?」
「そう。時々いるんだよ。異世界から飛ばされてくるヒトが」
……わお。
そんな観光地みたいなとこだったのかい。
「〈来訪者〉はみんな目的があってここに来るんだ。こちらから〈勇者〉を呼び出したりとか、前世の恋人に会うためだとかね」
〈勇者〉とかまだ納得できるけどさ、恋人ってナニ?
ずいぶんとロマンチックな話じゃないか。
意味も分からずやって来たあたしとは違ってさ。
それも案内人があの無駄に薄気味悪いコインだし。
いいなあ、あたしもそんなロマンチックな理由で異世界観光したかった〜。

