「たつー!来たよー!」

「おう、しのぶ。いらっしゃい」


半年前の夏の始まり。


高校生で何でか飲み屋デビューを果たした時からの兄貴分の辰正が、自分でメンズバーを出した。


「ゴメンね、開店の時来れなくて。」

「いやいや、今日来てくれたから無罪。」


あたしはあたしで、辰正の店‘竜風’の筋向かいにある‘スナック遥か’で働いてる。