いや、正確には、唇。 振り返ったあたしの唇に、神谷くんの唇が重なった。 驚いた。 驚いたっていうか、唖然とした。 唖然としたっていうか、 ……心臓、止まった。 すぐに離れた神谷くんを見上げて、あたしは瞬きすら忘れてた。 そんなフリーズ状態のあたしに、けれど神谷くんは、いつもの、余裕な微笑。 「…先輩の熱、もらいましたから。…ごちそうさまです」 「……なっ……」