「あ、もしもし?」


その日の帰り道、俺は電話をかけていた。


『もしもし、爽くん?』


「由紀ちゃん今から会えない?」


『……どうして?悪い話?』


そう聞かれて、言葉が出なくなった。

俺の中で、一つの答えが出たから…。




『あたし、別れないよ』


力強い言葉に胸が痛くなったけど、俺の気持ちは変わらない。


「今日改めて思ったんだけどさ、お互いちゃんと好きな人と付き合おうよ」


『あたしは爽くんのことが好き!!』


いつの間にか由紀ちゃんの気持ちは膨らんでたのに、俺の気持ちは前とそんなに変わらない。

その差にも罪悪感を感じてしまう。


『ずっとあたしの隣にいてよ…。キスして…触ってよ…』


お願いだから泣かないで…。


「ごめん」