「爽!!グラブ磨いて帰るだろ?」


「んー…いや、今日は持って帰ってみっちりします」


明日からしばらく部活休みだし…。

家でじっくりピカピカにする気だった。


「は?磨いて帰るよな!?」


「うえ!?あ…はい」


半ば強引に誘導されて、頷くしかなかった。




部室の外に並んで座る。

グラウンドが綺麗に見える。


「爽、これからは真面目に野球しろよ」


「それって…今の俺がふざけてるみたいっすけど?」


何を急に変なこと言うのかと思った。


「バカ。もっと真面目にすんだよ。お前はやればできんだから」


おどけてんのかと思ったけど、渉さんはいつになく真剣な目をしてた。


「本気で甲子園狙え」


その言葉が胸にジンと染み込んだ。