【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜

「次のチームがくる。早くベンチ出るぞ」


キャプテンの声にも、いつもの元気は感じられない。

三年生は泣いてる…。


え?

渉さん…?


いつもあんなに賑やかで、うるさい渉さんなのに。

帽子を深くかぶって、目を押さえてる。


そっか…。

先輩たちの夏は終わったんだ。


高校野球は引退なんだ…。




何か声をかけたいけど、何を言えばいいのか分からない。

この雰囲気をどうしたらいいか分からなくて、俺は黙って荷物を運んだ。


みんなほとんど無言でベンチを出る。


外へ出て、監督から集合がかかる。

監督も目が赤い気がする…。


監督らしい言葉は、より先輩たちの涙を誘う。

その全てが”最後”を物語ってる。


もうこのチームで野球することはないんだ…。