【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜

「で、でも…あたしまだ学生だしっ」


夕日よりも真っ赤になった愛衣。

そんな言い訳聞きたくない。


「知るか!!俺はもう我慢できねーの!!」


俺ってわがままだから、好きなものは全部全部手に入れたいんだ。


「それとも、俺じゃ嫌?」


こんな言い方、卑怯だって分かってる。

でも”今”思ったことを、俺は”今”大事にしたい。




「…嫌なわけない。あたしが爽のお嫁さん?」


心配そうに聞いてくるから、俺はハッキリ訂正。


「違ーう。”かわいいかわいい”お嫁さん」


俺がバカみたいに自信満々に言ったからか、プッと吹き出した愛衣。


「あはは♪じゃあ爽は、あたしだけのカッコイイ旦那さんになってくれるの?」


「もちろん!!俺、いつでもカッコイイっしょ?」


ニッて笑って愛衣を見ると、目に涙を浮かべてた。

そんな弱い一面も大好きで、俺はギュッと抱きしめた。