【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜

頭の上から降ってきた審判の声。


拳を何度も何度もグラウンドにぶつけた。

今の気持ちを全てそこに向けるしかなかった。


悔しい…!!

情けない…!!

自分に腹が立つ!!


俺が打てなかったから、チームは負けた。




「爽、行くぞ!!」


誰に声をかけられたのかは分からない。

でも、そのまま連れられて整列をする。


『っした!!』


皆、もう枯れた声しか出ない。


試合が終わった。


それは同時に、俺達の夏の終わりも意味してた…。


こんなに今日は暑いのに、夏は終わったんだ。


皆が土をスパイクケースに入れてるとき、我慢できなくて一人ベンチを出た。


負けた姿を写真に撮られて何がうれしい?

何が楽しい?


俺には堪えらんねぇよ。

涙が止まんねぇんだ。