「アイボン、チューは?」


帰り道、懲りずにまたねだってみる。

今日は気持ちよく練習もできたし、いつも以上の充実感でいっぱいなんだ。


「そ、爽先輩…本気ですか?」


お?意外といい感じだったり?


「超本気♪二人のときは敬語もいいっつってんのにー。”先輩”も嫌だー」


調子に乗って、更にわがままを付け加えてみる。

どれか一つでも叶えば、儲けものだし。




「……本当に教えてくれる?」


上目使いで見られて、ドキッとする。

自分がかわいいの自覚してよ…。


少し心配になっていると……


チュッ


本当の本当に一瞬。

唇が重なった。


わけが分からない俺は、ただ目をパチクリさせる。


「……教えて?」