【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜

「最初に鈴一の試合を観たとき、大村くんの存在に思わず笑ってしまったんだ」


そ、存在に!?


「普通ランナーがスコアリングポジションにいるときは、自分のとこにはくるな!!って思ってしまうんだけどね」


エラーでもして、点が入るのが怖いから?

俺だって思うけど……


「大村くんはピョンピョン跳びはねてアピールしてたでしょ?サードこい!!って叫びながら」


「だって、そのピンチを俺が切ったらカッコイイじゃないっすか!!しかもそのスリルも好きなんすよねー」


俺がそう言うと監督は呆れた顔して、山口さんは爆笑。




「そこに俺は惚れたんだよ」


キリッと急に真面目な顔をする山口さん。


「……うわ、俺も山口さんに惚れそう」


そんなうれしいこと言われたら、心が揺れるに決まってる!!


「ぶっ!!ほんと君最高!!あー腹痛いっ」


ヒーヒーと苦しそうに笑う山口さんって、笑いのツボかなり浅いな。

俺はもしかしたら、いい人に目を付けてもらったのかもしれない。