「とにかく、俺は早く打ちたい。表はさっさと切り上げようぜ」


「はは!!結局一輝はマイペースかよ!!」


決勝が始まってすぐ点を取られたってのに、いつも通りの俺ら。

一点取られたぐらいで自信なくすような、そんな弱いチームじゃねぇんだよ!!


「……分かったよ。んじゃあ、そっちに打たすからエラーしないでよ」


「任せろ♪」


励ちゃんが渋々といった感じで了解して、一輝はガキみたいに笑った。

そんなやり取りを見てた俺も……


「よっしゃ、がんばりますか」


グローブで励ちゃんの背中を軽く叩いて、軽快にポジションへ戻る。




カキンッ


次の二番バッターの打球は、宣言通りショートの一輝の真正面に転がる。

タンタンッとリズムよくさばいて、この試合初めてのアウトを取った。


いいなー!!

俺も強い打球取りたい!!投げたいー!!


「ナイピッチ!!サードいいよ!!つーか、こっち打たせてっ」


跳びはねながら、大声で叫んだ。