「は?何?お前この子と知り合い?」


少し驚きながら、俺とアイボンを見比べる。

もう夜遅くて他に客はいないから、変な静けさが広がった。


「愛衣は俺のなんで、諦めてくれます?」


「爽せんぱ…」


涙を目に浮かべながら、俺を見つめるアイボン。




「がははは!!」


「まじウケる!!心配しなくても、俺らガキに興味ねーからっ」


ひとしきりバカ笑いした後、潔く男たちは帰って行った。

ただの暇つぶしなら他でやれよな…。


まじで心臓に悪いし。


アイボンは男たちが離れた瞬間、すぐに俺に駆け寄ってきた。

そしてその二人が見えなくなるまで、俺の後ろから覗いてた。


「はぁー…」


安心してため息を吐くと、ガバッと横からアイボンが俺を抱きしめた。

その細い腕は、まだ少しだけ奮えている。