「バント?」


俺の隣で初スコアをつけるキョンキョンが、不思議そうに呟いた。


「今のはセーフティーバント」


そう俺が言うと、益々意味分かんないって顔をした。


でも確かに見慣れない光景だろうし、聞き慣れない言葉だろうな。

テレビでやるような野球では、あんまりセーフティーする人いないし。

ただバカスカ打ってるイメージなんだろうな、野球って。


違うんです。

奥が深ーいんっすよ。




ちなみにセーフティーバントってのは、一番バッターとか足が速い奴がすることが多い。


送りバントは、自分が犠牲になってもランナーを生かすもの。

でもセーフティーは、自分が生きるバント。


走りながらバントして、うまいコースに転がさないといけないから…実は高等技術で簡単には成功しない。


だから一輝のセーフティーは、正に手本みたいなもん。

まぁ、でも?

絶対俺も負けねぇけど。