後ろから聞いたことのない小さな声がして、振り向いてみる。


「あ、ごめんなさいっ」


そこにはクリクリした目の女の子。

俺よりは…年下かな?


「こんな速い球、連続で完璧に打ち返す人初めて見たのでつい…」


ん?誉められてる?


「いや、俺なんか下手くそだって。野球詳しいの?」


「あ、あたし…ここのバッティングセンターのオーナーの娘なんです」


あー…なるほど。

よく見てるわけだ。




「あの、これ…邪魔しちゃったお詫びに」


そう言いながら笑顔でコインをくれた。

このバッティングセンターは、コインを入れると球が出るんだ。


邪魔したって程のこと、された覚えはねぇけど。


「またきてくださいね♪」


手を振りながら去って行く彼女は、商売上手だと思った。