【長】野球ボール〜ソウソウの夏〜

「だからそれは!!」


キョンキョンのことを言ったわけじゃないし、ケンカの勢いだって言おうとしたのに…。


「…何で…こんなに辛いのかな」


言葉を詰まらせながら、また涙を流すキョンキョン。


その涙はどうして俺のためじゃないのかって、一瞬本気で考えた。

このまま泣かせていいのか…?




「…………まじで俺にしよ?」


俺の中で、やっと答えがまとまった。

キョンキョンを抱きしめると、その想いがまた強くなる。


「え…ソウソ…」


キョンキョンに何も言わせないように、腕に力を加える。


「泣いてるキョンキョン…もう見たくねぇんだよ。俺なら泣かせねぇし、もしキョンキョンが泣いてても…すぐ涙止めてやる」


「ソウソウ?」


「ほら。今だって涙止まってるだろ?」


そんな些細なことがすごくうれしくて、クスッと笑ってしまう。


「だ、だって…」


「俺も気付いたばっかなんだけど……俺さ?キョンキョン大好きみてぇ♪」


俺が誰よりも大切にするから。

もう泣かせないから。


ためらってたことを言葉にすると、自然と笑顔が零れた。