(ここからは、拓目線で書いてきます。)

あたりを木々に囲まれた場所。中央には大きな湖があった。その湖の近くに少年――桐谷 拓は寝そべっていた。

ふぁ~っと欠伸をしていると、後ろから「拓っ!!!」と呼ぶ声がする。
振り向くと、1人の少女がこっちに向かって走ってきた。

「沙耶、声でかすぎ。」

拓は呆れながらもう一度欠伸をする。その態度にムカついたのか沙耶は俺の頭をベシっと叩いた。

「ぐぉっ!!何すんだよ!」

「何すんだよじゃないよ!拓、また“力”使ったでしょ!!」

ギクリっ……と俺は冷や汗を流した。

「黙ってたって無駄なんだから!素直に言いなさい!」
どっかのおばさんに叱られてるみたいだ。

「うっせーな、俺は女の子を助けたんだぜ?なのに何で怒られなきゃいけねぇの?」
少し反発してみる。
間違ったことは言ってないはず……