その言葉に柚歌がビックリした顔で寧々音を見てたなんて知る由もなく
「何だよそれ。」俺はそう返していた。

「ただ、それだけ。」

そう言って、寧々音は柚歌の腕を掴み廊下に向かって歩いてく。

「えっ!?ちょっと寧々音!」
柚歌は引っ張られるままに教室を出て行った。

「何だよ、寧々音のやつ。」
彰はポツリと呟いた。

俺は気づかなかったんだ。もうこの時から、この日常が音を立てて崩れ始めていたなんてーーー