「たーけひろー。ねーってばー」 「ったく何だよ…」 坂を上りながら微酔い気分で武絋の背中で見る満月は最高だった。 「あたしすごく幸せ者かも!」 「はぁ?」 「健康だしー、友達はいっぱいいるしー、大学も楽しいしー、」 それに文句を言いつつも、あたしをおぶって帰ってくれる出来た男友達もいる。 「お気楽なヤツだな。」 武絋の苦笑さえ、あたしはその夜素敵なものに思えた。