「岳、その子は?」
板倉先輩があたしを見てそう言った。
「ん?今日知り合った後輩」
『こんにちは…』
「へぇ!可愛いじゃん♪」
板倉先輩があたしにくっついた。
うわ……
板倉先輩から、すごくいい香りがする。
大人の女性って感じ。
自分がすごく子供に思える。
「で、名前はなんてゆうの?」
『笹木乙葉です!』
「乙葉ちゃんかぁ。あたしは板倉愛美だからよろしくね♪」
名前まで可愛いんだ。
『……はい』
すこしためらった返事をしてしまった。
「板倉、コイツも雑用一緒にやるから」
「え……そうなの?」
板倉先輩……?
さっきの板倉先輩と顔つきがすこし変わった気がする。
でもそれはほんの一瞬で…
「じゃあ、教室行こ!」
板倉先輩はそう言って、笑顔であたしの肩に手を回し、歩きだした。
さっきのはなんだったんだろう…。

