ほしいのはキミ






「青春だな、笹木」




何を言ってるんだこの先生は。











先生に呆れながらもあたしは、先輩が走って遠くなっていくのをただただ見ていた。










「見とれてないでいいから、早く教室入りない」







『…!あっ…はい』









「乙葉、すごい汗」




席につくと、後ろの席の美和に声をかけられた。





美和は、中学の頃からのあたしの親友。





ずっと一緒だから、誰よりお互いを理解している。











『もー疲れたぁ~』




「ってかさっきの美形男子は誰!?」





-ドキンッ


とあたしの胸が脈打った。






さっき別れたばかりなのに、また先輩に会いたくなった。









「あらら~恋ですか?」








恋…




恋…?




きっとまだ違う。


そうじゃない。




大丈夫、この胸の高鳴りはきっと別のものだから。