メイクアップを終えた頃ドアをノックする音が聞こえた。


「はぁ~い♪」



すっかりご機嫌なアンナはドアを開けに向う


ドアを少しだけ開けて話し、私の所に戻って来たアンナは私に耳打ちする。



「雫、自分の気持ちに正直に素直になりなね。
じゃあ私先行ってるね!」


「え?ちょっと…アンナ?」


私を置いて部屋を出ようとするアンナを私が呼止めると、アンナは振り返りドキッとする位色っぽい笑顔で微笑む



「雫は王子様にエスコートして貰ってねっ♪」



そう言ってドアを開くと1人のスーツを着た男の人



「明…!」



アンナが開けたドアの先に居たのは、紛れもなく明

何で明がココに?



「じゃあ私先行ってるね!」



戸惑う私を尻目にアンナは明に何か一言言うと、ドアから外へ颯爽と出て行った。


ゆっくりと私の方に向って歩いてくる明

その表情は嬉しいような悲しいような、複雑な顔



「雫…無事で良かった…。」



私の所に来た明は私を優しく見詰めギュッと抱き締めた。



「明…」



私にかけてくれた明の言葉は少し震えていて、私はそれ以上言葉が出なかった。