オサナナジミ


―ガラガラガラ


『健人!』


「よっ。」


いつもみたいにぎこちなかったけど、ちょっとでもまともな会話ができたことが嬉しい。


『よかった来てくれて。てか遅いよ。もう来ないかと思った』


「おう」


そっけない返事だったけどアタシはたまらなく嬉しかった。


『あのね、いきなりだけどアタシ純とは付き合ってないよ?』


「別に嘘つかなくてもいいよ。俺2人の仲を壊そうだなんて思ってないから」


『嘘じゃないよ!誰から訊いたのって言ったのは別に付き合ってるのを誰から訊いたのかってことじゃないよ。確かに否定してなかったけど付き合ってなんかないよ』


「だからムリしなくていいってば」


健人は寂しそうに言った。


『誰から訊いたってのはそんなデマ誰から訊いたのってことだよ・・』


健人は黙ったまま何も言おうとしない。


『じゃあ逆に訊くけど誰から訊いたの?付き合ってるって』


「・・B組のヤツだよ。おまえらが購買んとこでキスしてたとか仲よさそうに帰ってたとか」


B組?


確か胡桃もキスしてたって訊いたとか言ってたっけ。


『それは全部デマ!!購買での事は熱でもあんの?って純がアタシの顔覗き込んだとき周りから見たらキスしてるように見えたんだよ!!一緒に帰ったのは健人が委員会だったからだよ』


さっきから健人はアタシと目を合わせてくれない。


ずっと俯いたまま。


「信じてもいいの??」


『もちろん!!』