わかった。今日も6時にいつものとこね。

秀ちゃん大好きo(^-^)o

送信

ぼくも詩織が大好きだよ(^з^)-☆Chu!!

受信


なんだか疲れる。


ひどく疲れる。


わたし何してるの?

好きなんて…


大好きだなんて…


嘘をつくのは疲れる。


好きじゃないから簡単に言える。

カレは会社の後ろの席にいる同僚の秀明。


わたし詩織が本当に好きなのは右ななめ3個のデスクの先に座っているあなた上司の桜井さん。


でもあなたには帰るべき家があり、奥様と子どもがいる。


そんな状況で、あなただけを思って生きてゆくなんてとても無理。


秀明と付き合うことで少しだけ保たれるわたしのプライド。


そうしないと崩れちゃう。


そうしていないと、不安でつぶされちゃう。


だから今日もカレにメールを打つ。


全く気持ちのこもってない嘘のメール。

でも、魔法のように出てくる愛のことば。

…愛してる
…あなたがいないと生きてゆけない
…ずっと一緒にいたい
…大好き


わたしがメールを打つときはあなたの顔を思い描く。


そうあなたのさらさの髪の毛。

あなたの丸くて鋭いあごのライン。

いつもは鋭いのに笑うと無くなる目。


でも、実際にはあなたには打てない。

アドレスはカレ宛に打つ。


カレはそのメールにすごく喜んでくれる。


そんなとき少し感じ
る罪悪感。
ごめんね秀ちゃん。

けして嫌いではないの。

ただ大好きにはなれない。

いっそカレを好きになれればこんなに楽しいことはないのに~。


なんて気持ちって厄介で面倒くさいの。

カレ秀ちゃんは会社でも優秀でイケメン。一流大学を出てみんなにも人気があって…そして何よりも何よりもわたしを愛してくれている。欲しいときにくる…わたしのツボがちゃんとわかってくれている完璧なカレ。
デート2回目でプロポーズされた。


わたしもそのプロポーズに答えた。
…すごく嬉しい

また嘘。


ごめんね秀ちゃん。


必ず好きになる。


だってそれが一番なんだから…

ちょっと待ってて

待っててね。


わたしの頭がわたしの心に命令した。


「わたしの体の中の心さんへ、自分のために秀ちゃんを好きになりなさい」と