「あ…っ」 温かい。 アイツの腕じゃない。 「大丈夫だ、莢架」 「あっ…ふ…う」 怖かった。 男は優しく壊れ物を扱うように あたしの背中をポンポンと叩く。 あたしの呼吸も落ち着いていく。 「莢架?」 優しい声。 大丈夫。 「ん…怖かった…っ」 「ああ、怖かったな。 もう大丈夫だ」 あたしは男の腕の中で泣いた。