その瞬間に包まれた体。
「莢架ちゃん。
わたしたちは莢架ちゃんを救いたい。
頼って欲しい。
でもね、頼ってばかりでは
弱くなっていくんだ。
だから自分で喋らないと
前には進めないよ。
泣いたっていい。
立ち止まってもいい。
ただ逃げたら終わりだ。
逃げたらもうもどれないんよ」
その言葉に涙が出そうになったけど
あたしは必死に堪えた。
泣かない。
あたしは頼ってばっかりじゃだめなんだ。
「莢架ちゃんの過去は知っている」
「え…っ?」
「すまないがさっき瑠威から
聞かせてもらったよ」
「……」
「莢架ちゃんはどうしたい?」
瑠威のお父さんの瞳は真っ直ぐだった。
あたしは迷わずに答える。

