広幸は朝食を終えると、制服に着替え、学校へ向かう。

身体は疲れてはいないが、頭が重くて仕方がない。


昨日の夜も遅くまで勉強した。
正確に言えば、勉強してる振りをした。


母の早苗が時々様子を見に来るので、机の前に座っていた。

疲れるので、ベッドで横になったりもしたが、階段の足音がすると、慌てて机の前に座り直した。


部屋を覗いた母は、

「あんまり無理しちゃダメよ。」

と心にもないことを言う。


「あぁ、大丈夫。」

広幸は振り向かずに答える。


母をがっかりさせる行動をとることは出来なかった。



プロ野球選手になれると本当に信じてたかどうかは、わからないが、広幸が野球を出来なくなった時点で、一度母の夢を裏切ってしまった。



だから、これ以上裏切ることは出来なかった。




裏切らないでほしい、



という母からの無言のプレッシャーを、広幸は、これでもかとゆう位感じていた。