「お前のちっちゃい頃の夢は?」
「忘れた」
「えー」
「そっちこそもう宇宙飛行士はええの?」
「んんー、どやろ。
あ、月には行ってみたい・って思う。
今でも」
「アポロやん」
「おぉ、アポロ11号」
「無重力の中でサッカーしてみたい」
「できんでしょ?」
「サッカーできんの?」
「たぶんね」
月の上にいる彼を想像する。
実際存在しもしない兎と餅をつく彼を
なんとなく考えて、
それがやたら似合ってて笑えた。
でも一人、ぽつんとそこで佇んでる彼も、
全然アリやと思った。
月から見る地球は、彼の眼にはどう映る?

