苦笑をこぼしながら携帯を右耳に当てれば
聞こえてくるプルルルル‥という電子音。


そして反対側の左耳から、
微かに届く、聞き慣れた着信メロディー。


ぴたり、と足を止める。







(あぁ、もう)



「なにしてんの……」



小さな声で呟く。
そこはコンビニの近くの公共駐車場。





そこで鼻歌を歌っていた彼が、
ちょうどポケットからその鼻歌と
同じ曲が流れる携帯を取り出したところで。


あたしが自分の携帯の電源ボタンを押せば
その携帯も音を止めた。