~Snow White~『一巻』

「いいたいことを
最後まで言いなさい。」
厳しい声にすくんだ。


「違うなら違う
使ったら使った
使ってみたかった
ごめんなさい
私も欲しい・・・・・」

智久は私の顔を見た。


「確かにあんな暮らしをしていたら
気持ちがすさんでしまうけど
でも負けるな。
雪湖という人生を悲しいものにするな。」



「どうしてそんなこと?」



「大人にはいろんな事情があるんだ。
いつかどうしてこうなったか
分かる日が来るから。
その時、そのくだらない事情を
打ち砕くのは雪湖自身だぞ。」


智久が私を心配してくれることに
驚いていた。
歩幅を合わせて歩いた。


地下鉄の駅に永遠につかなきゃいいのに・・・