~Snow White~『一巻』

後味が悪かった。
どうして素直に「ごめんなさい」と
言わなかったんだろう。


真冬の頭を撫ぜた智久がずっと
忘れられなかった。


午前中のお手伝いさんの恵子さんが


「もういいわよ。
早く学校の用意しなさい。」

と言ったから
慌てて時計を見た。


「おとうさま~
車に乗って行きたい~
トモくんも行くでしょう。」


智久は伯父となにか話をしている。


私は部屋に戻って制服に、
着替えをした。


鏡に向かって髪の毛を縛りなおす。


心が汚れてる
そう智久に言われた


「汚れてないもん」と
つぶやいた。