~Snow White~『一巻』

「絶対、嘘言ってるよね。」

そう言って
智久の横に真冬が座る。


平静を装って
私は食事を運んだ。


「うそつき どろぼう」
千秋の声に心が折れた。


「本人にはわかってるだろ。」
智久の言葉が突き刺さる。


冷たい言葉だった。
智久だけは、挨拶に笑顔をくれた。

感謝の言葉をつけてくれた。


それ以外は会話することは
なかったけど
笑顔で
「ありがと」

「おはよう」

そう言ってくれる唯一の人だった。

「嘘をついて汚れるのは
自分の心だよ。
それに気付かないで嘘を重ねて
人は汚い人間になっていくんだ。
わかるか?」

そう言って真冬の頭を撫ぜた。