~Snow White~『一巻』

「住んでるみたい。」


窓から覗き込んだ。



「家もなつかしいな・・・・
あれから一度も来れなかったから。
いつもあのベランダから
庭に出て・・・・
ママはここに洗濯物を干してて…」

少しづつ・・・
記憶の断片が合わさって
いろいろなことを思い出した。



「ありがとう稔さん
約束を叶えてくれて。」


涙があふれた。


「悲しいことばっかりで
落ち込んでいたから。
本当に幸せです・・・・・
でもよくわかりましたね・・・
私だって住所なんて覚えてなかったのに。」



いつか一緒に
来たいって
智久にも話していたけど
それは叶わなかった。