「で、中村さんどうします?モリノでも行きますか?」



「モリノ」というのは僕の家から自転車で15分ほどのところにある、それなりに大きなホームセンターだ。



「いや、飯食ってカラオケ行こ。」



こういう時に自分の楽しみを優先してしまうのは、僕の悪いところだ。



ちなみに僕と昇が仲がいいのは、このカラオケというのも少し関係している。



というのも、僕らは同じロックバンドが好きなのだ。



もっともこれは、仲良くなった後に判明したことなのだが。



そういうことで、そのバンドの割と一般的な知名度が低い曲でも僕らはしっていて、普段空気を読んで歌えないような曲でも、気持ちよく歌えるわけだ。



「じゃ、行きましょうか。」



昇の自慢である銀色のスポーツカーに乗って、僕たちは家を後にした。