そんなことを、先輩の横顔を見ながら思い出した。
「…まるで血のような、真っ赤な朱。
先輩、こんな薔薇を見たら血が飲みたくなるんじゃないんですか?」
ちょっと挑発するような感じで言ってみた。
真っ赤な血を連想するのも無理ないくらいの薔薇の海。
人間のあたしでも血を連想できるくらいなのに、ヴァンパイアの先輩は………
…もう我慢ならないくらいだと思う。
「はははっ!…まぁね。
飲みたくなるよ、無性にね。
でも、薔薇はヴァンパイアにとって栄養剤でもあるんだよ」
「…栄養剤?」
「うん。
難しい話になるんだけど、簡単に言えばこの薔薇を赤くしてる色素がヴァンパイアにとってはいい栄養になるってわけ。
血が赤く見えるのとは全然違うものなんだけどね」
クスッと笑いながら、先輩は話してくれた。
栄養剤…
薔薇が?
「どうやって摂るんですか?」
「いろいろあるよ。
ローズティーにして飲んだりもするし、料理に添えてみたり。
そのまま食べても問題ないんだけどね、味もないから美味しくないんだよ」
「そうなんですか」

