「逃れ………」
「僕もキミを逃がしたくない」
「えっ?」
あたしの目をぐっと見据えてきた。
逃がしたくない…って、あたしこのまま手込めに!?
正体って何!?
知らずに帰ろう…
うん、知らずに……
知らずに帰るぞ!!!
…と、体に命令すると動かない。
先輩が目で縛りつけてるみたいに…
でも手込めは嫌だっ!!!
「僕の正体は………」
聞かなきゃいいんだ!!!
耳に神経を集中させて…、
聞こえなくすればなんとか…。
なるかぁぁぁぁぁ!!!!!
どうしよ、どうしよ!!!
あたし、まだ処女だよ!?
…あ、でも王子先輩ならこの上ないいい相手………
って、しっかりしろあたし!!!
「僕の正体はヴァンパイアだ」
聞いちゃったよぉぉぉ!!!!
ヴァンパイアだって!
ヴァンパイア!!!!!
ヴァンパイア…?
ヴァンパイアって………
「…ヴァンパイア………?」
「知らない?
吸血鬼だよ、吸血鬼。
有名なのにドラキュラ伯爵っているじゃん。
人の生き血を吸う悪魔だよ」

