「ありがとう。
それ、僕が調合したハーブで作った紅茶なんだ。
僕好みだから、ここの使用人たちも好まないけどね」
そう言って笑った。
先輩もこういう香りや味が好きなんだ………
「確かに世間一般で好まれてる香りや味じゃないですよね。
あたしもよく友達に変だって、言われます」
あたしも笑って話した。
…何年ぶりだろう。
家族や親戚でもない男の人と、こうやって笑って話したのは………。
あたし、結構先輩と馬が合うのかも。
「…日向さん、聞かないんだね」
先輩が突然尋ねてきた。
聞くって、何を………?
「僕の正体。
気にならないの?」
「えっ…」
先輩の正体………
聞きたくないわけじゃない。
興味はあるけど…
何か、知るのが怖いんだ。
「…それは、知りたいとは思います。
なにか超能力者かも、とかお風呂の中でも考えてました。
…でも、何故か知るのが怖くて………」
なんで怖いんだろう。
無性に知るのが怖い…
…久しぶりにおぼえた、この感覚は………
「正体を知ると、もうキミは僕から逃れられない」

