それもこの世のものとは思えない、冷たそうな瞳…
まるで、どこかの冷たい宝石を瞳にはめたような感じだった。
「寂しい…ですか?」
「え?
…いや、そうでもないよ。
ここにはたくさんの使用人もいるし」
そう小さく笑ったけど、目は寂しそうだった。
なにか…あるのかな?
「紅茶入ったよ」
「ありがとうございます」
先輩があたしの前に、これまたお高そうなティーカップを置いた。
うっかり割らないように、そっと取っ手を掴んでしっかり握った。
「すごくいい香り…」
少し近づけただけで匂った香りはとてもあたしが好きそうな香りだった。
香水を選ぶ時だっていつもそう。
甘くてゴテゴテした香りは好きじゃない。
飾りっ気のない、シンプルで真っ直ぐな匂いが好きだった。
「飲んでごらん」
「…美味しい!
こんな紅茶、初めて飲んだ…
心地いい爽やかな香りが口いっぱいに広がって…、説明がつきません」
説明のしようがない、そんな美味しさだった。
本当に飲んだことない味だ…。

