「あいつら…どこに?」


やっとの思いで、そう声にすれば
リアは俺を見つめた。


「この街、ノワが守っている御神体のところ。
もっと詳しく言えば、宮廷の中。
そして、御神体を守るのはお兄ちゃんの仕事よ。」
「一晩中?」
「そう。
一晩中、自分の力を信じアレと戦うの。」


リアが心配そうに宮廷を見つめた。

そりゃそうか。
あんな惨忍な奴らを一晩中相手にしてるんだ。
何かあったらって考えるに決まってる。


「そうだ!
イチ、明日は図書館に行きましょう?」
「え?
あぁ…うん。」
「何よ、歯切れが悪いわね。」


これ以上、家族の話はしないで。

そう言われている気がした。
リアが急に明るくなって話を変えたのは
きっとこれ以上家族の話をしたくないからなんだろう。

だから、俺もリアの話しに乗っかった。


「図書館、嫌いなんだよなぁ…。」
「嫌いとか行ってたら、帰れないからね?」


はいはい。とだけ言えばリアは頬を膨らまし怒った。
それをからかうように見つめ、彼女の頭をくしゃくしゃっと撫でた。