――開いた。


転がるようにして中に入り、やみくもに走りながら別の出口を探すものの、どこにも見当たらない。


部屋の突きあたりまできて振り返ると、入り口に円城寺くんのシルエットがあらわれた。


「袋のネズミだ」


心臓が破裂しそうなほど激しく鼓動していた。


両側の壁にはすき間なく水槽が並び、ブラックライトの青い光が部屋全体を満たしている。

ブーンという空調の低くうなる音が響いていた。


なんとか逃げだす糸口は見つからないかと部屋を見回すと、水槽の中に奇妙なものが浮かんでいることに気づいた。


熱帯魚にしては大きく、どの水槽にも同じものが入っている。


おっぱいに似たなにか――

というより、おっぱいそのものに見えた。